まだ朝日が昇る前、
閉鎖された神宮外苑に警察車両が集まってくる。
国立競技場が無くなり、日本青年館も無くなった。
取り残された絵画館とイチョウ並木も随分と寂しく見える。
毎年恒例となっている警視庁年頭部隊出動訓練も、
場所を変え行われる、という噂もあった。
しかし蓋を開けてみれば何事も無かったかの様に、
いつもの場所でいつもと同じ視閲式が開催された。
絵画館を背に威厳溢れる機動隊員の姿を期待するファンにとっては嬉しい知らせだ。
ぽっかりと大きな穴が開いた東京で一番美しい場所に、
赤い色をした活気が再び戻ってきた。
年頭部隊出動訓練が始まる少し前、
スーツ姿の新人警官が大挙してやって来る。
出動訓練は警備の問題から宣伝も出来ないらしく、
しかしながら人がまばらだと機動隊員の士気も下がる。
その為、苦肉の策として呼ばれているそうだ。
寒い中、お疲れ様。