全ての式典が終わり、残るプログラムは音楽演奏だ。
来賓が帰ると張り詰めていた緊張感が消え、
混雑していたスタンドにも余裕が出てくる。
その隙を狙って席を移動することにした。
これから高等工科学校のファンシードリルが行われる。
ドリル部にとって、
観閲式で演技出来る栄誉は勿論だが、
62期生引退前最後の大事な公演でもある。
観閲式が陸上自衛隊で行われることが発表されてから、
きっとこの日の為に厳しい練習を重ねてきたに違いない。
今日はその集大成、
重圧をはね除け、
ライフル1丁で力強くも繊細な統制美を世に見せ付けるのだ。
とは言っても、やはり心配でもある。
ドリル部は比較的失敗が少ないのだが、
これだけ大きな舞台では何が起こっても不思議ではない。
悔いが無いよう全力を出し切って欲しい、
祈るような気持ちで本番を待っていた。
自分はあるリスクを犯すことにした。
ドリル演技を綺麗に撮影するには、
出来るだけ端に場所をとりたいところだが、
今回はど真ん中に座ることにしたのだ。
中央からの撮影は、
「波」といった技を撮影するには不向きで、
ドリルメジャーに近づくと撮影自体困難になってしまう事もある。
今回敢えてこの場所を選んだのは
「蹴り渡せ」が撮りたかったからだ。
2列に並んだ生徒達が投げるライフルの間をドリルメジャーが通っていくという
ドリル展示最大の見せ場でもある。
62期はあまり蹴り渡せをしてこなかったのもあって、
最後に撮ってみたかった。
ただ、これはギャンブルでもある。
蹴り渡せは動画で見ると迫力があるのだが、
静止画にすると粗が出易いのだ。
この場所からの撮影が吉と出るか凶と出るか、
全てはドリル部員の正確なライフルさばきにかかっている。
ドラム隊のリズムと共に、ライフル隊とドリルメジャーが入場してきた。
正真正銘これがラスト公演だ。
プログラムはいきなり蹴り渡せから始まった。
ここからは生徒達のライフルさばきに注目して頂きたい。
向かい合う部員がライフルを投げて相手に渡し受け取る。
これだけでも難しいのだが、
息が合うとライフルが左右対称になっていく。
ただ、その様な綺麗な画像が撮れることは滅多に無い。
ドリルメジャーは往復して元の位置へと戻っていく。
蹴り渡せが綺麗に決まると、興奮を通り越して涙が出そうになった。
しかも、今までに無いくらい左右綺麗に揃ったライフルの画像が撮れている。
そして迷いがちな一眼レフのAFもなんとかドリルメジャーに食いついてくれた。
生徒の努力と運が味方をしてくれたのだ。
最後は片手捧げ銃。こちらは動画でどうぞ。
会場の声援に応えるように、ライフルを掲げて去っていった。
最後の最後にドリル部はやってくれた。
観閲式という大舞台で、
複雑なフォーメーションを駆使して多くの見せ場を作り、
阿吽の呼吸で難度の高い技を次々とこなしていく。
間違えなく、今年一番の素晴らしいドリル演技であったと思う。
きっと苦労も多かったであろう62期ドリル部員のみなさんありがとう。
そしてお疲れ様でした。
ここからはブログ初公開となる未公開画像集
武山駐屯地の記念行事で行われたドリル演技
(場所取りに失敗して、殆ど撮影出来なかったのです)
日米友好祭2日目の画像。
(1日目と構成がほぼ同じなので割愛しました)